読みやすいけど奥深いおはなし

おはなし おはなし

takuakiさん(id:takuto-akira:20060112#dokusyo)が紹介されていて興味を持った本です。
図書館で借りて読んでみました。
河合氏の仕事である心理療法に関する話が中心です。
気軽に読めるけれども、実はけっこう奥の深いお話が多かったように思います。


特に印象に残ったのは「二次災害」という項目。
例として挙げられているのは、子供の登校拒否について。
子供が学校に行かなくなるという事実が一次災害、その親が「なぜ、うちの子だけが」「これでこの子の将来はまっ黒だ」と思い悩むことが二次的災害であると紹介されています。
本来考えなくてもよい二次的な悩みを増やすことによって、ますます苦しくなり、そのために本来的なことに心が向かわなくなってしまうとのこと。

二次災害は阻止したり、軽減したりできる。しかし、一次災害については他人は何もできない。風邪をひいた人が自分の体力によって治ってゆくのと同様に、悩みを正面から悩むことによって治ってゆくより仕方がない。
(中略)
風邪にしても、治る過程では、熱が出たりせきが出たりするのと同様に、心の場合も、それ相応に苦しみや痛みを経験することになるが、それを避けては通れないし、それを避けようとして、また二次災害を起こすこともある。

この二次災害を防ぐことが、医者や心理療法家の役割なんだなぁと改めて実感するとともに、自ら二次災害を作り出さないことが重要なのかもと感じました。

おはなし おはなし (朝日文芸文庫)

おはなし おはなし (朝日文芸文庫)