学びや労働から逃げようとする心理

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

久しぶりに読み応えのある1冊でした。
この本に書かれていることは、以前からずっと疑問に思っていたことだったので、じっくりと時間をかけて読みました。
大人に対して何かを指導する際に、私がいつも感じることは「大人は直接的に役立つと思えることしかやろうとしない」「短期的な視野で結果を求める」ということ。
これは大人だけの特徴だと思っていたのですが、最近では小学校1年生でも同じような傾向にあると知ってびっくりしました。
本書では「無時間モデル」という言葉が使われていますが、時間をかけて何かを成し得るという感覚を備えていない人が増えているようです。
直接役に立たないことの積み重ねやロングスパンでの発想がいかに大切か、時間意識のない人に時間意識を持たせることは、なかなか難しい課題ですね。
そして、次の一節が一番印象に残りました。
勉強することの本質をよくあらわしていると思います。

自分にとってその意味が未知のものである言葉を「なんだかよくわからない」ままに受け止め、いずれその言葉の意味が理解できるような成熟の段階に自分が到達することを期待する。そのような生成的プロセスに身を投じることができる者だけが「学ぶ」ことができます。

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち